SaaS 管理ツール比較|Jamf・Bundle・YESOD・マネーフォワード IT 管理 vs ChordOne
SaaS 管理ツールは「アカウントの可視化」よりも「人事台帳と退職時のアカウント削除がつながるか」で選んだ方が、結局運用が続きます。本記事では、国内外の主要 SaaS 管理ツールを「中小スタートアップ視点」で整理します。
この記事の要点
- SaaS 管理ツールは大別して「デバイス起点(Jamf 等)」「請求・利用ログ起点(Bundle、マネーフォワード IT 管理)」「人事台帳起点(ChordOne、ジョーシス、YESOD)」がある。
- 退職時のアカウント削除漏れを防ぐには、人事台帳起点が一番ミスが少ない。
- 請求・利用ログ起点は「シャドー IT 発見」「重複契約の削減」に強い。コスト削減効果が直接見える。
- ChordOne は人事・採用・評価と同じ画面で SaaS 管理が動く構造で、スタートアップが情シス専任を置けない段階に向く。
- 選定では、まず「退職オフボーディングの SLA」を 1 行で書き、そこから逆算してツールを選ぶ。
なぜ SaaS 管理が必要か
30 〜 100 名規模のスタートアップでは、利用している SaaS が平均 60 〜 120 個に達するというデータが各社から報告されています。代表的な問題は次の 3 つです。
- 退職者のアカウント削除漏れ:人事は退職処理を完了しているのに、Slack・Notion・Figma に元社員がログインできてしまう。退職者の SaaS アカウント削除漏れを防ぐチェックリスト も参照。
- 同じ用途で複数 SaaS を契約:チームごとに別々に契約していて、年間で数十万〜数百万のロスが見えていない。
- 監査対応で 1 週間かかる:投資家・監査法人から「アクセス権一覧」を求められた時、手動で集める作業が業務を止める。
SaaS 管理ツールには 3 つの起点タイプがある
選定が混乱する原因は「同じカテゴリに見える 3 種類のツールが混ざっている」ことです。
- デバイス起点(Jamf、Intune 等):端末から逆引きしてアプリ利用を見る MDM ベース。Mac/Windows の物理端末管理に強い。
- 請求・利用ログ起点(Bundle、マネーフォワード Admina 等):請求書、SSO ログ、ブラウザ拡張から SaaS 利用を発見する。シャドー IT 検出と契約コスト最適化に強い。
- 人事台帳起点(ChordOne、ジョーシス、YESOD 等):従業員台帳を起点にアカウントを紐づけ、入社・異動・退職に合わせて自動でプロビジョニング/デプロビジョニングする。
主要ツールの整理
Jamf / Intune(デバイス起点)
Mac / iOS のデバイス管理が起点。アプリ配布、設定強制、紛失時のリモートワイプに強い。スタートアップでは Mac 全社配布の段階で必須になることが多い。SaaS 棚卸しは別ツールで補う。
Bundle by freee / マネーフォワード Admina(請求・利用ログ起点)
請求書とログから SaaS 利用を炙り出す。コスト削減と監査対応に直接効く。freee やマネーフォワードの会計を使っているなら、請求データの連携が自然。
ジョーシス / YESOD(人事台帳起点・国内)
従業員台帳を起点に、アカウント発行・回収を自動化する。SmartHR・freee 人事労務との連携も用意されている。情シス専任がいる 100 名以上の組織で選ばれやすい。
BetterCloud / Torii / Lumos(人事台帳起点・グローバル)
海外発のエンタープライズ志向。SCIM / OIDC 対応 SaaS の自動化能力が高い。導入には英語の運用ドキュメントとそれなりの設計工数が必要。
ChordOne(人事台帳起点 + 人事・採用・評価と一体)
採用 → 入社 → 評価 → 退職までを 1 つの従業員台帳で扱える構造で、SaaS 管理(情シスモジュール)はそのワークスペースの一部として動く。情シス専任を置けないスタートアップでも、人事と兼任で SaaS 棚卸しを回せる。月額 200 円/ユーザーから。
比較マトリクス
| 観点 | Jamf / Intune | Bundle / Admina | ジョーシス / YESOD | BetterCloud 等 | ChordOne |
|---|---|---|---|---|---|
| デバイス管理 | ◎ | × | △ | △ | △(端末配布管理) |
| シャドー IT 検出 | △ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
| コスト棚卸し | × | ◎ | ○ | ○ | ○ |
| 退職時自動削除 | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 人事台帳との連動 | △ | △ | ○ | ○ | ◎(同一ワークスペース) |
| 適性規模 | 50 〜 1,000 名 | 30 〜 500 名 | 100 〜 1,000 名 | 300 〜 5,000 名 | 20 〜 200 名 |
| 料金感 | 中 | 中 | 中〜高 | 高 | 20 人無料 + 月額 200 円/ユーザー |
フェーズ別の選び方
20 〜 50 名(情シス専任なし):人事台帳と一体で動く ChordOne の情シスモジュールが現実解。月額負担が小さく、退職時の SaaS 棚卸しを HR が同じ画面で回せる。
50 〜 100 名(情シス兼任、コスト最適化が議論に上がる段階):人事台帳起点(ChordOne / ジョーシス)+ コスト棚卸し(Bundle / Admina)の併用が増える。
100 〜 300 名(情シス専任 + 監査対応):ジョーシス、YESOD、BetterCloud 等のエンタープライズ寄りに切り替える検討タイミング。デバイス管理は Jamf / Intune を別建てで継続。
導入前チェックリスト
- 退職オフボーディングの SLA は「24 時間以内に主要 SaaS のアクセスを切る」と明文化されているか。
- SSO 対応の SaaS と非対応 SaaS の比率を把握しているか(非対応 SaaS が多いほど棚卸しは手動になる)。
- 請求書を集約しているのは会計/総務/情シスのどこか(請求起点ツールを入れるならここから取りに行く)。
- 人事マスタの正本はどこか。SmartHR、freee 人事労務、ChordOne など、SaaS 管理ツールが参照する正本を 1 つに決めているか。人事マスタとは? 参照。
- 監査対応のために「アクセス権一覧」を毎四半期出せる体制になっているか。
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編集部メモ
本記事は、SaaS 管理ツールが「同じカテゴリの中に 3 つの起点タイプ」が混ざっていて選定が混乱しがちな課題を、起点別に整理しました。各社の最新の料金・機能は公式サイトでご確認ください。