離職率の計算方法と下げ方|定着率改善の進め方
離職率は、出すこと自体が目的ではなく、どこで・なぜ人が辞めているかを把握し、打ち手につなげるための入口です。計算方法と定義の違いを押さえたうえで、離職を分解して特定し、定着率を改善する進め方を実務目線で整理しました。
この記事の要点
- 年間離職率は「離職者数 ÷ 期首在籍者数 × 100」が基本。分母の取り方で数値が変わるため定義をそろえます。
- 全体の離職率だけでなく、入社時期・部署・理由で分解すると、改善すべき箇所が特定できます。
- 特に入社1年以内の早期離職と、特定部署・特定マネージャー配下の偏りは優先的に見ます。
- 打ち手は、入社後の立ち上がり支援・1on1・サーベイによる兆候の早期把握を仕組み化することが核になります。
離職率の計算方法
もっとも一般的な年間離職率は、次の式で求めます。
年間離職率(%)= 一定期間の離職者数 ÷ 期首の在籍者数 × 100
たとえば期首に100名が在籍し、その年に10名が離職した場合、離職率は10%です。シンプルですが、分母を「期首の在籍者数」にするか「期中の平均在籍者数」にするかで数値が変わります。採用が活発で在籍が大きく増減する組織では、平均在籍を分母にした方が実態に近くなることがあります。社内・社外と比較するときは、まず定義をそろえることが前提です。
あわせて見たい指標
全体の離職率だけでは、改善の打ち手は見えてきません。次の指標を併用すると、どこに課題があるかが具体化します。
- 定着率:100% − 離職率。入社者が一定期間後にどれだけ残っているかを見る場合は「入社コホート別の定着率」が有効です。
- 早期離職率:入社1年以内(または試用期間後)に離職した割合。採用・オンボーディングの課題が表れやすい指標です。
- 部署別・マネージャー別離職率:特定の部署や上長の配下に偏りがないかを見ます。
- 自発的/非自発的の区別:本人都合の退職と、会社都合・解雇を分けて見ると、打ち手の方向が変わります。
離職を分解して「どこで起きているか」を特定する
離職率を下げる第一歩は、平均値を眺めることではなく、離職を分解して偏りを見つけることです。次の軸で切ると、限られたリソースをどこに向けるべきかが判断できます。
| 分解の軸 | 見えること | 主な打ち手の方向 |
|---|---|---|
| 入社時期(コホート) | 早期離職か、定着後の離職か | 早期なら採用要件・オンボーディング、定着後ならキャリア・処遇 |
| 部署・チーム | 特定部署への偏り | 業務負荷・人間関係・マネジメントの確認 |
| マネージャー | 特定の上長配下での偏り | 1on1の質・評価の納得感・支援の見直し |
| 退職理由 | 処遇・人間関係・成長実感など | 理由カテゴリごとの施策設計 |
離職が起きる主な要因
退職理由は個別性が高いものの、現場では次のような構造的要因が重なって離職につながることが多くあります。表向きの理由(「キャリアアップ」など)の裏に、これらが隠れていないかを見ます。
- 入社後のギャップ:採用時の期待と実際の業務・カルチャーのずれ。早期離職の典型要因です。
- 立ち上がり支援の不足:オンボーディングが属人的で、最初の数か月で孤立する。
- マネジメントとの関係:1on1が形骸化し、課題やキャリアの相談ができない。
- 評価・処遇の納得感:評価基準が不透明で、貢献が報われていないと感じる。
- 成長・キャリアの停滞:次の役割やスキルの見通しが持てない。
離職率を下げる打ち手
離職は単発の施策では下がりにくく、入社から定着までの各段階に手を打つことで効果が出ます。分解で特定した課題に合わせて、次の打ち手を組み合わせます。
- 採用要件とのすり合わせ:早期離職が多い場合、求める要件と実際の業務・カルチャーの説明を採用段階で揃える。
- オンボーディングの標準化:最初の30/60/90日でやることを決め、立ち上がりを属人化させない。
- 1on1の定着:定期的に実施し、業務だけでなくコンディションとキャリアを扱う。記録を残し引き継げるようにする。
- サーベイの活用:パルスサーベイでコンディションを定点観測し、低下を早期に把握する。
- 評価の透明化:評価基準とプロセスを明確にし、納得感を高める。
1on1やサーベイの具体的な進め方はパルスサーベイと離職防止や1on1ツール比較もあわせてご覧ください。
離職兆候を早期に検知する
離職率は「結果」の指標です。下げるには、辞める前のシグナルを早く拾い、対話につなげる運用が欠かせません。サーベイスコアの急落、自由記述のネガティブ傾向、1on1の停滞、称賛や評価の偏りなどを、月次でチーム単位に見ると、年1回のサーベイでは間に合わなかった兆候を捉えられます。具体的な確認項目は離職兆候チェックリストに整理しています。
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編集部メモ
本記事の計算式・指標は人事実務で一般的に用いられる定義をもとに整理しました。離職率の水準は業種・規模・雇用形態で大きく異なるため、外部の目安より自社の推移と内訳で判断することをおすすめします。計算例は理解を助けるための仮の数値です。
関連情報
- 離職兆候チェックリスト
月次で確認したい離職シグナルの一覧。
- パルスサーベイと離職防止
サーベイで兆候を定点観測する運用の基本。
- ChordOneの離職防止機能
サーベイ・1on1・評価をつないだ兆候検知の具体例。