Backlogからの移行手順|課題キーを保ったまま乗り換える方法と、移らないもの
Backlog からの乗り換えでいちばん問題になるのは、料金でも機能でもなく 課題キーが変わること です。PROJ-123 は Slack のやりとりにも、コミットメッセージにも、仕様書にも書かれています。取り込み時に1番から振り直されると、その参照が全部切れる。この記事では、移行前に確認すべきことと、CSVでの具体的な手順、そして移らないものを正直に整理しました。
この記事の要点(4 行)
- 移行の失敗はだいたい課題キーで起きます。番号が振り直されると、Slack・コミットログ・仕様書の参照が一斉に切れます。
- CSVには「表示している列」しか出ません。書き出す前に表示項目のカスタマイズで必要な列を出しておきます。
- コメント・添付・Wiki・Git は移りません。移行後しばらく Backlog を閲覧用に残す前提で計画してください。
- 「処理済み」を完了として取り込まないこと。進捗が実態より良く見えます。
最初に決めること:課題キーをどうするか
プロジェクト管理ツールの移行検討では、たいてい機能表と料金表が先に並びます。ですが実際に移したチームがつまずくのは、もっと手前の一点です。
課題キーは、ツールの外にたくさん書かれています。
- Slack の「
PROJ-241の件どうなりました?」 - コミットメッセージの「fix
PROJ-198」 - 仕様書・議事録・障害報告書に書かれた課題番号
- 顧客への報告メールに書いた対応番号
移行先が取り込み時に1番から振り直すと、これらが全部たどれなくなります。過去の経緯を追う手段が失われるので、移行後3か月くらい経ってからじわじわ効いてくるタイプの損失です。移行時点では気づきません。
PROJ-123 → TASK-1。旧キーを別の列に文字列として残せれば、検索はできます。ただしリンクにはならず、新旧の対応表を人が見る運用になります。
PROJ-123 のまま。以降に作る課題も最大値の次から続きます。Slack に書かれた番号がそのまま通じます。
確認すべき質問はこれ1つです。「CSVの課題キーの番号を、そのまま採番に引き継げますか?」。ツールの機能一覧にはまず書かれていないので、問い合わせて確認してください。
移るもの、移らないもの
CSV での移行を前提にすると、こう分かれます。
| 項目 | 移行 | 補足 |
|---|---|---|
| 課題キー・件名・詳細 | ◎ | 詳細は Backlog 記法のまま文字列で入ります |
| 状態・種別・優先度 | ◎ | 選択肢は自動で作られます |
| 担当者・登録者 | △ | CSVには表示名しか出ません。移行先の従業員データとは自動で結び付きません |
| 開始日・期限日 | ◎ | そのままガントチャートに乗ります |
| 予定時間・実績時間 | ◎ | 時間(小数)で出るので、分に直す必要があります |
| カテゴリー・マイルストーン・発生バージョン | ◎ | 複数値になることがあります |
| 親子課題 | ○ | 親課題の列を出していれば結べます。同じファイルに親が居ることが条件です |
| カスタム属性 | ○ | 取り込み先が「知らない列」を捨てずに残す作りなら移ります |
| コメント | ✕ | 列の形が課題ごとにばらつくため、実務では対象外にします |
| 添付ファイル | ✕ | CSVに含まれません |
| Wiki・ファイル共有 | ✕ | 別に書き出して移す必要があります |
| Git・Subversion リポジトリ | ✕ | GitHub / GitLab などへ別途移行します |
| 更新履歴 | ✕ | 誰がいつ何を変えたかは移りません |
✕ が思ったより多い、と感じたら正しい読み方です。CSV移行で持ち込めるのは「いま open な課題を、いまの状態のまま」であって、過去の経緯ではありません。だからこそ、移行後しばらく Backlog を閲覧専用の最小プランで残し、古い経緯はそちらを見る、という二段構えが現実的です。契約を即日切る前提で計画すると、必ず揉めます。
手順
1. 表示項目を整える
Backlog の課題検索画面で「表示項目のカスタマイズ」を開き、移したい列を表示にします。表示していない列は CSV にも出ません。ここを飛ばして書き出し、あとで担当者や期限日が入っていないことに気づく、というのがいちばん多い手戻りです。
最低限そろえる列:課題キー/件名/状態/種別/優先度/担当者/開始日/期限日/予定時間/親課題。詳細(本文)も必要なら表示にします。
2. プロジェクトごとに書き出す
検索条件をプロジェクト1つに絞ってから、一覧の右上・右下にあるアイコンで CSV をダウンロードします。
複数プロジェクトをまとめて書き出すと、A-1 と B-1 のように接頭辞が混ざります。1つのデータベースに2種類の連番は同居できないので、番号の引き継ぎができなくなります。プロジェクト単位で1ファイルが原則です。
また、完了済みも含めるかどうかはここで決めます。既定の検索条件は未完了だけのことがあるので、全件移すなら状態の絞り込みを外してください。
3. 取り込む
移行先で CSV を読み込みます。このとき、2つ確認してください。
- 文字コード:Backlog は Shift_JIS で書き出すことがあります。UTF-8 前提の取り込みだと全部文字化けします。自動判別に対応していない場合は、先に UTF-8 で保存し直します。
- 状態の割り当て:「未対応 / 処理中 / 処理済み / 完了」を、移行先の未着手・進行中・完了のどれに当てるか。処理済みは完了にしないのが安全です(後述)。
4. 突き合わせる
取り込んだら、Backlog 側と3つだけ照合します。
- 件数:書き出した行数と取り込まれた件数が一致するか
- 課題キー:いちばん大きい番号の課題が、同じ番号で入っているか
- 完了件数:完了扱いの件数が Backlog と合っているか
ここが合っていれば、細かいズレは後から直せます。合っていない場合は、取り込みをやり直したほうが早いことがほとんどです。
つまずきどころ4つ
Backlog では「完了」で閉じるまでが開いた課題で、「処理済み」は確認待ちです。完了として取り込むと、移行直後の進捗率とバーンダウンが実態より良く出ます。数字を信じて判断すると危ないので、ここは必ず分けてください。
CSVには表示名しか出ないので、移行先の従業員データとは自動で結び付きません。通知や「自分の課題」の絞り込みを使うには、取り込み後に担当者列を人と紐づけ直す作業が要ります。人数が多いプロジェクトほどここに時間がかかります。
取り込み側が「知らない列」を捨てる作りだと、独自に足した属性が何も言わずに落ちます。取り込み後の件数だけ見ていると気づきません。列の対応結果をレポートしてくれるかを確認してください。
Backlog は予定時間・実績時間を時間(小数)で書き出します。2.5 は2時間30分です。取り込み側が素の数字を「分」と読むと、2.5分になります。合計工数が桁違いに小さければこれを疑ってください。
移行したあとにやること
- Backlog を閲覧専用で残す期間を決める。3〜6か月が目安です。最小プランに落として据え置きます。
- 担当者を紐づけ直す。通知が動くようになるまでは、チームは移行先を見に来ません。
- コミットメッセージの運用を切り替える。課題キーを引き継げていれば、書き方は変えずに済みます。
- Wiki と添付を移す。課題より後回しにされがちですが、探せないと結局 Backlog を開き続けることになります。
課題キーの接頭辞と番号をそのまま引き継ぎ、以降の採番も最大値の次から続けます。文字コードは自動判別。当てはめられなかった列は捨てずに文字列として残し、取り込み後にどの列がどう入ったかをレポートします。従業員20人までは無料です。
移行を考えるタイミング
Backlog は2027年1月1日にプラン改定を予定しています。現行の4プランが3プランに統合され、ユーザー無制限のプランはビジネス(月36,300円・税抜)になります。現行スタンダード(月16,000円)を使っている場合、次回更新時に実質的な値上げになります。現行プランの新規契約は2026年12月31日までです。
移行そのものは半日で終わる作業ですが、担当者の紐づけ直しとWikiの移設に2〜3週間かかります。改定に合わせて動くなら、2026年内に検証を始めておくと余裕があります。
料金の比較は プロジェクト管理ツール料金比較 に、50人・100人・200人での実額と損益分岐点を出しています。
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