Notionから社内Wikiを移行する方法|権限・DB・リレーションが壊れる前のチェックリスト
Notionの移行で難しいのは、文章を別の場所へコピーすることではありません。ページの親子関係、誰が読めるか、データベース同士の参照、誰が更新するか——4つの「つながり」を再現することです。公式の書き出し仕様を踏まえ、移行前の棚卸しから試験移行、照合までを順番に整理します。
この記事の要点
- 移行対象はファイルではなく、ページ・権限・リレーション・責任者という4つのつながりです。
- Notionの一般的な移行用書き出しは「マークダウンとCSV」+「サブページを含める」。移行先の公式指定があればそちらを優先します。
- リレーションはCSVでURLになり、数式・ロールアップ・保存した表示・権限はそのまま再現できない前提で確認します。
- 全社を一度に動かさず、利用頻度の高い5〜10ページとデータベース1つで試験移行します。
Notion移行で再現するのは、4つのつながり
ページ数やファイル容量だけを数えても、移行の難易度はわかりません。実務では次の4つを別々に確認します。
- ページのつながり:親ページ、子ページ、ページ間リンク、埋め込み。
- 権限のつながり:全社、部署、プロジェクト、個人、社外ゲストの閲覧・編集範囲。
- データのつながり:データベースのリレーション、ロールアップ、数式、保存した表示。
- 責任者のつながり:ページ所有者、更新担当者、確認期限、問い合わせ先。
この4つのどれかが抜けると、「文章は移ったが見つからない」「見せてはいけない人に見える」「管理表の数字が合わない」「誰も更新しない」が起きます。
移行前に棚卸しする項目
| 対象 | 確認すること | 移行後に必要な判断 |
|---|---|---|
| ページ | 題名、親ページ、最終更新日、閲覧回数 | 移す・保管する・廃止する |
| 権限 | 全社、部署、個人、ゲストの共有先 | 移行先の権限へ割り当てる |
| データベース | 項目の種類、必須項目、表示、絞り込み | 再現・簡略化・専用システムへ分離 |
| リレーション | 参照元、参照先、複数選択、逆方向の参照 | 再接続の順番と照合件数 |
| 数式・集計 | 式、集計方法、判断に使う数値 | 再構築後の期待値を記録 |
| 添付 | 画像、PDF、外部サービスへのリンク | 移行先へ保存するかリンクを残すか |
| 責任者 | 所有者、確認者、更新期限 | 移行後の担当者を決める |
移行を機会に、最終更新から長期間経ったページや参照されていないページを分けます。「全部移す」は安全に見えますが、古い情報まで検索結果へ戻す原因になります。
Notionから書き出す手順
Notion公式ヘルプでは、ページをマークダウンとCSVとして書き出す場合、次の手順が案内されています。
- 対象ページ右上の「•••」から「エクスポート」を選ぶ
- 形式で「マークダウンとCSV」を選ぶ
- 「サブページを含める」をオンにする
- ZIPファイルをダウンロードする
ワークスペース全体は「設定」→「一般」→「ワークスペースのすべてのコンテンツをエクスポートする」から実行できます。実行はデスクトップまたはWebブラウザが対象です。
書き出す人が見られない他の利用者の非公開ページは含まれません。管理者だからすべて入るとは限らないため、対象件数と出力件数を照合します。管理者がエクスポートを無効にしている場合もあります。
移行先がHTMLを指定している場合は、移行先の公式手順を優先します。たとえばConfluenceの公式インポートでは、利用する経路によって推奨形式や権限の取り込み方法が異なります。
ファイルへ書き出しても、そのまま移らないもの
| Notion上の情報 | 書き出し後 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| ページ階層 | フォルダとファイル名で表現 | 親子関係と重複名を確認 |
| リレーション | CSVではプレーンテキストのURL | 移行先で参照先を再接続 |
| ロールアップ | 表示値だけ残る、または再現されない | 参照先と集計方法を再設定 |
| 数式 | 計算結果だけ残る場合がある | 式を再作成し、期待値と照合 |
| データベースの表示 | 現在または既定の表示のみ | ボード・カレンダー・絞り込みを再作成 |
| 権限 | 通常のファイルには含まれない | 共有先と権限を再設定 |
| コメント・履歴 | 移行方法により欠落 | 必要なら保管用の書き出しを別に残す |
| 外部埋め込み | URLまたは表示不能なブロック | 移行先の対応サービスで再確認 |
Notion公式ヘルプも、リレーションを含むデータベースをCSVへ書き出すとURLになり、そのCSVを再度取り込んでもリレーションを自動再構築できないと説明しています。移行先に同じ名前の機能があっても、設定まで自動で移るとは限りません。
全社移行の前に、5〜10ページとデータベース1つで試す
試験移行では、簡単なページだけを選ばないことが重要です。次の組み合わせを含めます。
- 親子関係があるページ
- 画像とPDFがあるページ
- ページ間リンクが多いページ
- 社内全員・部署限定・個人限定の権限
- リレーション、ロールアップ、数式を含むデータベース
- 同じ題名や似た題名があるページ
これで移行できなければ、全社移行でも同じ問題が拡大します。試験結果をもとに、変換ルールと手作業の範囲を決めます。
失敗しにくい移行順序
- 添付ファイル:画像・PDFの保存先を先に確保し、参照先を決める。
- ページ階層:上位ページから作り、子ページを配置する。
- データベースの項目:文字・日付・選択肢などの型を作る。
- データベースの行:一意に識別できる番号や題名とともに取り込む。
- リレーション:参照元と参照先が揃ってから再接続する。
- ロールアップ・数式:リレーション確認後に再構築する。
- ページ間リンク:移行先のURLへ置き換え、リンク切れを確認する。
- 権限:非公開を初期値にし、確認できた範囲から広げる。
- 責任者と期限:各ページの所有者・次回確認日を設定する。
権限を最初から全社公開にすると確認は楽ですが、非公開情報が見える危険があります。まず移行担当者だけが見られる場所へ入れ、権限確認後に公開します。
権限は「コピー」ではなく再確認する
移行前の共有設定が正しいとは限りません。退職者や異動前の部署が残っている可能性があります。移行時は、ページを次の4区分へ整理すると確認しやすくなります。
- 自分だけ:個人メモ、準備中の資料
- 社内全員:就業ルール、全社手順、FAQ
- 指定した人・部署:人事運用、採用、プロジェクト資料
- 社外ゲスト:特定のページだけを共有する資料
「誰が見られるか」だけでなく、閲覧・コメント・編集・再共有のどこまで許可するかを確認します。給与、評価、健康、家庭事情などは、一般の社内Wikiから分離する判断も必要です。
| 情報 | 置き場所 | 権限の考え方 |
|---|---|---|
| 就業ルール・申請手順 | 全社Wiki | 全員が閲覧、担当部署だけが編集 |
| 部署マニュアル・研修計画 | 部署スペース | 対象部署が閲覧、所有者と確認者を設定 |
| 候補者評価・人事評価 | 採用・評価の専用領域 | 業務上必要な関係者だけに限定 |
| 給与・健康・家庭事情 | 人事労務の専用システム | 一般Wikiへ複製せず、必要最小限の担当者だけが扱う |
| 個人メモ | 本人だけの領域 | 管理者を含む他の利用者へ自動公開しない |
移行は「すべてを一か所へ集めること」ではありません。見つけやすい業務知識と、限定して扱う従業員情報を分け、その間を必要な参照だけでつなぐ設計が安全です。
移行完了を判断する照合項目
- 対象ページ数と移行後ページ数が一致する
- 対象外としたページの理由が記録されている
- 画像・PDFを無作為に10件開き、表示できる
- ページ間リンクを無作為に20件開き、正しいページへ移動する
- リレーションの参照件数が移行前後で一致する
- ロールアップ・数式の主要な結果を期待値と照合した
- 全社・部署・個人・ゲストの各権限で表示を確認した
- 検索で代表的な10語を探し、必要なページが見つかる
- ページ所有者と次回確認日が設定されている
- 旧Notionをいつ読み取り専用・解約にするか決まっている
ページ数が合っただけでは完了ではありません。「探せる」「正しい人だけが見られる」「管理表の値が合う」「更新者がいる」まで確認します。
移行先は、編集機能より「会社データとのつながり」で選ぶ
一般的な社内Wikiは、ページとデータベースの編集体験を中心に比較されます。しかし、人事・総務で使う場合は、次の問いが重要です。
- 従業員・部署を文字ではなく会社の名簿から選べるか
- 異動・退職後も管理表の対象者を確認できるか
- 部署単位で共有できるか
- 管理者でも見られない個人用ページを作れるか
- 社外ゲストへ、そのページだけを共有できるか
- ページだけでなくデータベースの行も検索できるか
ChordOne Noteでは、ページ・フォルダ・データベースに加え、従業員・部署を項目として選び、別の管理表をリレーションでつなげられます。人事システムから名前を転記する運用を減らしたい会社に向いています。
移行機能の有無だけで決めず、代表ページと管理表を使って、構造・権限・検索・人事データとのつながりを試験してください。
よくある質問
Q. MarkdownとCSV、HTMLのどれを選べばよいですか?
移行先の公式手順を優先します。一般的なデータ移行ではMarkdownとCSVが扱いやすく、見た目を保管する目的ではHTMLが向きます。PDFは閲覧用の保管には使えますが、ページやデータベースを再編集する移行には向きません。
Q. ワークスペース全体を書き出せば、非公開ページも入りますか?
書き出す人がアクセスできない他の利用者の非公開ページは含まれません。チームスペースの設定やエクスポート制限によって含まれない内容もあるため、件数を照合します。
Q. リレーションや数式は自動で戻せますか?
完全な自動復元を前提にしないでください。Notion公式ヘルプでは、リレーションはCSVでURLになり、再取り込みだけでは元のリレーションへ戻せないとされています。数式やロールアップも移行先で再構築し、期待値と照合します。
Q. 旧Notionはすぐ解約してよいですか?
移行後の照合と利用者確認が終わるまで読み取り専用で残し、終了日を決めます。無期限に二重運用すると、どちらが最新かわからなくなります。
移行後に、また従業員名を転記しないために。
従業員20人まで無料。ページ、データベース、人事・組織情報のつながりを試せます。
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編集部メモ
この記事は2026年8月21日時点のNotion公式ヘルプと各移行先の公開資料をもとに、社内Wiki移行の一般的な手順を整理したものです。エクスポート・インポートの対応範囲はプランや移行先によって変わるため、実施前に最新の公式手順を確認してください。
引用・確認資料
- Notion公式「コンテンツのエクスポート」
Markdown・CSV・HTML、サブページ、ワークスペース全体の書き出し手順。
- Notion公式「データのバックアップ」
ワークスペース全体の書き出しと大規模環境の注意点。
- Notion公式「リレーションとロールアップ」
CSV書き出し時のリレーションと再取り込みの制約。
- Atlassian公式「NotionからConfluenceへのインポート」
移行経路、権限、非公開コンテンツに関する注意。
- 個人情報保護委員会「クラウドサービスを利用した人事労務管理に関する注意喚起」
人事労務情報をクラウドで扱う際の権限設定と安全管理の確認。
- ChordOne Note 機能紹介
ページ、データベース、人事データ、共有、検索の説明。