HRMOS採用からの移行手順|選考履歴と添付ファイルまで移すには
ATS の乗り換えで本当に困るのは、候補者名簿が移らないことではありません。選考履歴が消えることです。候補者と求人だけを移すと、「この人をなぜ見送ったのか」がどこにも残りません。半年後に同じ方がまた応募してきたとき、判断の根拠がない状態から始めることになります。この記事では、HRMOS採用から選考履歴と応募書類まで移す方法、移らないもの、そして個人情報の扱いで確認すべき点を整理しました。
この記事の要点(4 行)
- CSVでは選考履歴と添付ファイルが落ちます。HRMOS採用の画面はSPAで、履歴を一覧表として書き出せません。
- 移行方式は「ログイン情報を使って読み取る」型が必要です。選考履歴・評価コメント・社内メモまで移せるかはここで決まります。
- 自動移行の対象は HRMOS採用だけ。HRMOS勤怠・タレントマネジメント・経費は別製品で、CSV取り込みの守備範囲です。
- ログイン情報の扱いは3点だけ確認(保存するか/暗号化方式/実行後に消えるか)。人事データの移行では必ず聞かれます。
ATS移行で失われるのは、名簿ではなく判断の根拠
ATSの移行検討では、たいてい「候補者データは移せますか」から話が始まります。ですが候補者の氏名・連絡先・応募求人は、どの製品でもだいたい移せます。実務で効いてくるのはその先です。
- 「一次面接で見送り」の理由が書かれた評価コメント
- エージェントとのメールのやりとり
- 「今回はポジションが合わないが、来期のマネージャー枠なら」という社内メモ
- いつ・誰が・どの選考ステージに動かしたかの記録
これが消えると、タレントプールが「連絡先の一覧」に劣化します。再応募や再アプローチのときに、過去のやりとりを知らないまま接触することになり、候補者体験としても良くありません。
移行方式を決める前に、「選考履歴は移りますか」と聞いてください。ここで方式が絞られます。
なぜ CSV では足りないのか
HRMOS採用の管理画面はシングルページアプリケーション(SPA)で、データはブラウザが内部APIから読み込んで描画しています。画面に見えている一覧は、HTMLの表として存在していません。
結果として、CSV で書き出せる範囲は行と列で表せるものに限られます。候補者一覧や求人一覧はそれで足りますが、1件の応募にぶら下がる「時系列の出来事」(メール・評価・ステージ変更・メモ)は、1行1レコードの形に収まりません。添付ファイルも同様です。
そのため、選考履歴まで移す移行機能は、HRMOS にログインした状態で内部APIからデータを読み取る方式を採ります。ChordOne の移行機能もこの方式です。人が画面を1つずつコピーしていくのと同じ経路を、自動でたどっているとイメージしてください。
移るもの、移らないもの
ChordOne の HRMOS採用 移行が対象にしているのは、次の9種類です。
| 種類 | 主な内容 |
|---|---|
| 候補者 | 氏名・メール・電話・現在の勤務先・役職・経路。現在の給与/希望年収、限定公開メモ、エージェント推薦文、転職温度感を含む |
| 応募・選考 | 候補者と求人の紐づけ、選考ステージ、ステータス、結果、応募日 |
| 選考履歴 | メールの送受信、評価コメント、選考ステージの変更、社内メモ。記録した人と日付つき |
| 社員紹介(リファラル) | 紹介経由の応募 |
| タレントプール | 応募には至っていない候補者 |
| エージェント管理 | エージェント会社名・連絡先・社内メモ |
| エージェントメール送信履歴 | 求人案内などの送信記録 |
| 求人 | タイトル・雇用形態・勤務地・給与下限/上限・仕事内容・必須要件・歓迎要件・勤務時間・休日・福利厚生・公開設定・応募フォームの項目定義・求人画像 |
| メールテンプレート | 選考連絡の定型文 |
加えて、候補者ごとの履歴書・職務経歴書などの添付ファイルも1件ずつ取得して保存します。
移らないものは、権限設定・通知設定・カレンダー連携などの設定類です。これらは移行先で設定し直す前提で計画してください。作業量としては大きくありませんが、忘れると「移行したのに通知が来ない」で最初の1週間が止まります。
HRMOS には採用・勤怠・タレントマネジメント・経費があり、それぞれ別の製品です。ログイン情報を使った自動移行の対象はHRMOS採用(ATS)だけ。従業員データや勤怠は CSV の取り込みで移します。また、同じ会社が運営する「ビズリーチ」はスカウト媒体で、これも別サービスです。
手順は4ステップ
1. 接続を確認する
HRMOS採用のログイン情報を入力し、接続テストを実行します。HRMOS はメールアドレスを入れて「続行」を押してからパスワードを入れる二段階のログイン画面なので、移行機能がその形に対応しているかをここで確かめます。
実務上は、移行用のアカウントを1つ作るのがおすすめです。移行が終わったら無効化すればよく、誰の権限で読み取ったかも記録に残ります。
2. データを検出する
どの種類のデータが何件あるかを読み取ります。この段階では取り込みは行われないので、まず全体量を把握してください。候補者が数万件ある場合、取り込みには相応の時間がかかります。
3. 項目を対応づける
HRMOS 側の項目を、移行先の項目に割り当てます。対応先がない項目(自社で足した独自項目など)は、カスタム項目として新しく作るか、取り込まないかを選びます。
この画面でサンプル値が見えるかを確認してください。項目名だけで判断すると、「備考」がどちらの備考なのか分からないまま割り当ててしまいます。
4. 取り込んで、突き合わせる
取り込みが終わったら、HRMOS 側と3つだけ照合します。
- 候補者数
- 選考中(進行中)の応募件数 — ここが合っていないと、移行当日から現場が混乱します
- 公開中の求人数
合わない場合は、取り込み結果のスキップ理由を見てください。多くは必須項目が空だったか、対応づけの漏れです。
求人・候補者・選考履歴・エージェント・メールテンプレートに加え、履歴書などの添付ファイルまで移します。HRMOS側のIDを記録するので、やり直しても重複しません。従業員20人までは無料です。
つまずきどころ4つ
移行は一発で決まりません。項目の対応づけを直して再実行することになります。このとき移行先が「新規作成」しかできないと、候補者が二重に増えます。HRMOS側のID(応募ID・候補者ID・求人番号)を記録して、再実行時は更新になるかを確認してください。
候補者が多い会社ほど、取り込みは長時間になります。途中でサーバの再起動が入ったときに最初からやり直しになる作りだと、いつまでも終わりません。中断から再開できるか、どこまで取り込めたかが見えるかを確認してください。
現在の給与・希望年収・限定公開メモは、HRMOS 側でも閲覧範囲が絞られている情報です。移行先でどの権限の人に見えるようになるのかを、取り込む前に決めてください。全員に見える項目として入ってしまうと、事故になります。
権限・通知・カレンダー連携は移りません。データが移った時点で「終わった」と思いがちですが、通知が飛ばないと現場は新しいツールを見に来ません。移行のチェックリストに入れておいてください。
ログイン情報の扱いで確認する3点
この方式の移行では、移行先に HRMOS のログイン情報を預けることになります。人事データの移行では必ず社内で聞かれるので、先に確認しておいてください。
- 保存されるのか。データの検出だけなら保存しない設計が望ましいです。
- 保存されるなら、どう暗号化されるのか。実行の途中でサーバが入れ替わっても続けられるようにするため、実行中だけ暗号化して持つ設計になっていることがあります。方式(例:AES-256-GCM)まで確認します。
- 実行が終わったら消えるのか。そして管理画面の実行履歴やAPIの応答に含まれないか。
ChordOne の場合は、検出時は保存せず、取り込み実行中のみ AES-256-GCM で暗号化して保持し、実行終了時に削除します。実行履歴のAPI応答からも除いています。加えて前述のとおり、移行専用アカウントを作って移行後に無効化するのが運用としては最も確実です。
移行の段取り
- テスト移行を1回やる(1〜2時間)。少数の求人だけで対応づけを固めます。
- 本移行(データ量次第。数万件なら半日〜)。選考が動いていない時間帯に。
- 差分の再取り込み。本移行の間に増えた応募を、切り替え直前にもう一度取り込みます。IDで重複しない作りなら安全にできます。
- 設定の作り直しと通知の確認(1〜2日)。
- HRMOS を閲覧専用で残す。契約の都合が許すなら1〜3か月。
製品そのものの比較は HERP Hire・HRMOS採用・Talentio 比較 に、15製品での位置づけは ATS比較15選 にまとめています。
移行前の不安を解消します
「うちのHRMOS、何が移って何が残りますか」を一緒に確認します
データ量と使っている項目をうかがって、移行の範囲と所要時間を30分で整理します。テスト移行の立ち会いも可能です。特定製品への誘導なし。登録不要。
- ✓ 選考履歴・添付ファイルの移行範囲を確認
- ✓ 独自項目の対応づけを一緒に設計
- ✓ 個人情報の扱いについて社内説明用の資料もお渡しします
採用も、入社後のデータも、同じ画面で
従業員20人まで無料。採用管理を含めても月1,200円/ユーザーが上限です。