人事SaaSの無料プランはどこまで使えるか|有料に切り替わる境目と、始める前に確認すること
「まず無料で試したい」は正しい入り方です。問題は、無料の終わり方が製品ごとに違うこと。 人数で終わるのか、機能で終わるのか、期間で終わるのかによって、切り替えのときに払う代償が変わります。この記事は、無料で始める前に確認しておくことをまとめたものです。
この記事の要点(3 行)
- 無料プランの終わり方は人数・機能・期間の3型。どれで終わるかで、切り替えの痛みが変わります。
- いちばん危ないのは機能で終わる型。使い始めてから「その操作は有料です」と分かるため、判断の時点で気づけません。
- 無料で始める前に確認すべきはひとつ。「入れたデータを、後から全部出せるか」です。
無料プランの終わり方は3型
| 型 | 終わり方 | 切り替え時のリスク |
|---|---|---|
| 人数上限型 | 「◯人まで無料」。人が増えると課金が始まる | 低い。いつ来るか予測でき、その日まで全機能を試せる |
| 機能制限型 | 基本は無料。特定の操作だけ有料 | 高い。運用に組み込んでから制限にぶつかる |
| 期間限定型 | 14日・30日などのトライアル | 中。期限は明確だが、評価期間として短すぎることがある |
なぜ機能制限型が危ないのか
人数上限型なら、25人の会社が「20人まで無料」を見た時点で、自社は有料だと分かります。判断が先に来ます。
機能制限型は逆です。3か月使って運用に組み込んでから、「一括エクスポートは有料プランです」「通知の自動化は有料です」に当たります。 このとき、乗り換えるコストは既に高くなっています。データも運用も、そのツールの中にあるからです。
制限そのものが不当なわけではありません。問題は、判断すべき時点で情報が手元に無いことです。
期間限定型は、人事の道具には短いことがある
14日・30日のトライアルは、多くのSaaSで標準です。ただし人事の道具は、1サイクル回さないと評価できないものがあります。
- 人事評価 … 目標設定から評価まで、半期で1サイクル
- サーベイ … 2回目を取って初めて変化が見える
- 採用管理 … 応募から入社まで、早くても1〜2か月
30日のトライアルで分かるのは「画面が使いやすいか」までです。「自社の運用が回るか」は分かりません。 ここを確かめたいなら、期間ではなく人数や機能で区切られた無料枠のほうが向いています。
無料で始める前に確認する5項目
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| データを全部出せるか | 最重要。出せなければ、乗り換えの選択肢が消える |
| エクスポートは無料枠でできるか | 「出せるが有料プランで」だと、出るために払うことになる |
| 無料枠で管理者は何人まで置けるか | 1人だけだと、その人が休んだ日に何も動かない |
| 上限を超えたとき何が起きるか | 課金開始か、機能停止か、データ削除か。削除の製品がある |
| 有料に切り替えたときの単価 | 無料枠を使い切る前に、次の金額を知っておく |
1つ目だけでも確認してください。 入れたデータを後から全部出せるなら、判断を誤っても取り返せます。出せないなら、その製品を選んだ時点で他の選択肢が消えます。無料かどうかより、こちらのほうが効きます。
無料で始めて詰む3パターン
1. データが出せないまま人数が増える
従業員情報・評価履歴・応募者情報を入れた後で、CSVエクスポートが無いと気づく。ここまで来ると、乗り換えは「手で打ち直す」しかありません。
2. 無料枠の管理者が1人だけ
設定を触れる人が1人という制限がある製品があります。その人が退職したときに誰も入れない、という事故が起きます。
3. 部門ごとにバラバラに無料で始める
採用チームが1つ、人事が1つ、情シスが1つ。それぞれ無料なので誰も止めません。 半年後、従業員マスタが3つに分かれた状態で、統合の話が始まります。無料であることが、分断のコストを見えなくします。
これは費用の問題ではなくデータの問題です。無料だから安全、ということはありません。
ChordOne の無料枠
ChordOne は人数上限型です。20人まで無料で、21人目から課金が始まります。
- 機能の制限では区切っていません。20人以内なら、標準モジュールの機能をそのまま使えます
- 21人目からは標準モジュール 月額200円/ユーザー。4つ以上使う場合は1人あたり月800円が上限
- 採用管理(ATS)は月額500円/ユーザーで別途。合計しても1人あたり月1,200円が上限です
- 期間の制限はありません。20人以下のままなら、無料で使い続けられます
正直に書いておくと、20人という線は、多くの会社にとってすぐ超えます。 「無料でずっと使える」製品を探しているなら、この形は合いません。
この設計が向いているのは、いずれ有料になる前提で、その前に自社の運用が回るかを確かめたい会社です。人数で区切られているぶん、いつ有料になるかを先に計算できます。
よくある質問(FAQ)
無料プランで最初に確認すべきことは何ですか?
入れたデータを後から全部エクスポートできるか、そしてそのエクスポートが無料枠で可能かどうかです。出せなければ、乗り換えの選択肢が消えます。
人数上限型と機能制限型では、どちらが安全ですか?
人数上限型です。いつ有料になるかを事前に計算でき、それまで全機能を試せます。機能制限型は、運用に組み込んだ後で制限にぶつかるため、判断すべき時点で情報が手元にありません。
30日のトライアルで判断できますか?
画面の使いやすさは分かりますが、自社の運用が回るかは分かりません。人事評価は半期で1サイクル、サーベイは2回目で変化が見え、採用は入社まで1〜2か月かかるためです。
部門ごとに無料で始めるのは問題ありますか?
費用は増えませんが、従業員マスタが分かれます。半年後に統合する作業が発生するため、無料であることが分断のコストを見えなくします。
ChordOneの無料枠はどこまでですか?
20人まで無料で、機能の制限や期間の制限はありません。21人目から標準モジュールが月額200円/ユーザー、ATSは500円/ユーザーです。
編集部メモ
他社の無料枠の具体的な内容は書いていません。 無料プランの条件は改定が多く、書いた時点で古くなります。古い条件を信じて始めると、確認したはずのことが違っていた、という事故になります。代わりに、改定されても変わりにくい「3つの型」と「確認する項目」を整理しました。実際の条件は、各社の最新の料金ページでご確認ください。